ニュージーランドでは、かなり前から主要第二外国語が日本語であるため、若い世代から中高世代まで、日本語が話せる人口が多いので、大変親日的です。日本語を小学校から大学まで国策として第二外国語として取り入れているのはニュージーランド以外にそうそうないでしょう。だからこそ、ニュージーランドと日本の両国間の未来をもっと築いていければと思います。
日本の冬ではニュージーランドは夏。日本の暑い夏にはニュージーランドでスキーができます。逆に日本語ができる多くのニュージーランド人は日本で日本語を使ってみたいと思っているはずです。両国の観光立国政策にも貢献できればと思います。
*ジョン・キー首相と会談(7日)
ニュージーランド、ジョン・キー首相と約25分にわたり貴重な意見交換をさせていただきました。その会話の一部を紹介します。

キー首相:昨年10月に日本で鳩山総理と前原国交相と会い、「オープンスカイ協定」に関して両国間で可能性を探りたいと打診。その後の進捗を知りたい。
牧 山:日本からブラジル等南米方面への航空便はアメリカを経由するのが一般的だがニュージーランドを経由して 南米へ向かうのも一考に値する。
牧 山:ニュージーランドと韓国は映画製作に関する協定を結んでいる。例えば映画製作費用の50%分をニュージーランドで使ってもらえれば、映画製作費用の15%をリベートとしてキャッシュバックする、というものだ。こうした映画製作に関する協定を日本とも結べないか、その可能性を探りたい。
(なお今までに、日本には前例がなかったので、まず日本国内での検討と取り組みが前提となる)
牧 山:映画製作に関する協定を結ぶことが出来れば、観光立国を目指す両国にとって良いことであり、両国のロケ地を紹介するなど、両国間の人々の往来を活発にする起爆剤になると思う。
キー首相:美味しい日本食をアピールする良い機会でもありますね。
牧 山:美味しいものを食べる、という前に、日本への旅行は高価だとニュージーランドでは思われてはいませんか。
キー首相:宿泊や飲食には安価なものもあるので、そういうことから紹介すればいいと思います。
牧 山:日本は5%台となっているが、新政府による経済対策効果によって改善していくものと期待している。
*ニュージーランド国会議事堂前

写真)ニュージーランド国会議事堂前
私の来NZ(来新)のために日本の国旗を掲揚していただきました。
両国の友好関係の更なる発展に尽力します!
*女性省 Hon Pansy Wong大臣と面会

写真)左が牧山ひろえ。右がwong女性省大臣
・ニュージーランドでは女性省(Ministry of Woman’s Affairs)がある。
・ニュージーランドは初めて女性に投票権を与えた国である。
・女性が職場で差別を受けていないか、管理職(executive position)への道が女性にも機会均等に十分与えられているかチェックしている。
・省として女性のマンパワー登録システムがあり、3,000人のデータベースを政府でも活用していて、時には民間企業から人材検索を依頼されることもある。
・女性には、今まで女性が入り込めなかった、水道に関する仕事、電気に関する仕事などの専門職への就職を進めている。
・Commission for Status of Women 女性に対する全ての差別の廃止についての協議会のメンバーである。
*Maarten Wevers 内閣官房長官らと面会 (政治家ではなく、オープンなプロセスで選ばれた方)

Iain Rennie氏

Maarten Wevers氏
Iain Rennie氏
・事務次官は最適な人材を全世界で幅広い 業界から選ぶ。
・選ばれた事務次官は、業績チェックを受けながら、 長くて5年任期を全うする。
・業績が悪ければ、退任もあり、良ければ更新もある。
なお、事務次官は、Iain Rennie(左の写真): State Services Commissioner によって拝命されるとのこと。
詳細はこちらをクリックして下さい。http://www.ssc.govt.nz/display/document.asp?DocID=4989
それぞれの写真をクリックすると大きな写真が表示されます。
・現在60%の幼児教育労働者が資格を持つ教員である。政府は2012年までに80%の資格者を目指す。
・ニュージーランドには幼児教育施設が4000ヵ所あり、政府が所有するものではないが、政府が資金供給し、規制する。
*Tai Tamariki KindergartenTe Papa Museum
美術館のカフェを改造して作った都心の幼稚園。主に近辺で働く親の子供が利用するため、授乳や病気・ケガの際に親が駆け付けられる。交通渋滞がないので、車で保育園経由で通勤できる。
*Matairangi Community Kindergarten
住宅街にある近隣コミュニティー型幼稚園。隣接する施設で、乳幼児を持つ母親の交流が毎日午前中開催される。幼稚園に行くまでに、隣接する施設で既に親同士は知り合っている。

*ニュージーランド弁護士会を訪問、意見交換
相手 Mary C. Jeffcoat Barrister and Solicitor
Fiona Guy Kidd Crown Counsel

牧 山 日本では刑事手続における取調べの可視化法案が話題になっている。
弁護士会 取調べ可視化は古くからニュージーランドで行われている。事情聴取のようすは録画され、作成された録画テープ二本のうち、マスターテープは被告に与えられる。
牧 山 日本では昨年から陪審員制度類似の制度として裁判員制度が始まった。国民として義務のはずだが、免除される正当な理由があれば断ることはできる。よほどのことがない限り免除されない建前だが、アメリカを例にあげれば、何らかの正当な理由を見つけて免除になるケースが出てきてしまう懸念がある。よって、忙しい現役世代の裁判員が少なく、退職者、主婦や学生が陪審員の大半を占めてしまう危険性が心配される。
弁護士会 裁判員を断った場合はペナルティを課すのがいいのではないか。裁判員をさせてくれない雇用者に対しても。
牧 山 日本では最近殺人等の公訴時効を廃止する法案が成立し、即日施行された。
弁護士会 ニュージーランドでは殺人の公訴時効をはじめ、他の重い犯罪に対しても公訴時効は存在しない。
牧 山 日本にはまだ死刑制度はある。
弁護士会 ニュージーランドで最後に死刑が執行されたのは1957年のこと。1961年に最終的に死刑制度が終了した。(1941年から1950年の間、一時的に停止していた期間もあった。)
*The University of Aucklandを訪問
・ニュージーランドでは、外国語としてフランス語に次いで日本語を選ぶ学生が多いが、以前ほどではない。日本人による観光の激減のせいか、スペイン語や中国語など他の言葉への興味の増加によるものなのかはわからない。
・小学校から大学まで外国語を学ぶ機会があるが、同じ外国語を一貫して学び続けるか、複数の外国語を少しづつ学ぶ学生もいる。小学校での外国語は初歩程度。
・日本とニュージーランドは学校間で姉妹関係を結んでいる。
・国際交流基金から今まで二人日本語アドバイザーが来ていたが、今は一人。ニュージーランドにおける日本語の促進のためにもぜひ増やしてほしい。
*ニュージーランド国内で同行して下さったお二人と
Mrs. Vanessa Knippenberg-Donaghy, Visits and Ceremonial Manager, The Department of Internal Affairs
Mrs. Jocelyn Woodley, Senior Policy Officer (Japan/Korea Unit), Asia Division, New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade
お二人には終始懇切丁寧なご対応をいただき、心から感謝しております。
ありがとうございました!

*Asia New Zealand Foundationを訪問
James Penn, Director of Business
Fiona Haiko, Auckland Office Managerらと面会
日本のJETROと類似の政府とは独立した組織。ビジネス、政策、メディア、文化、教育など広範囲に渡り、アジアへの関心を高めることが目的。毎年日本の祭りを開催しているが、年々地元民の参加が増えているとのこと。
*Equal Employment Opportunities Trustを訪問
女性や少数民族の差別が起きないよう取組を図っている組織。
日本は雇用機会均等についてあらゆる会議が開催されていることは認識しているが、現実には女性などへの差別が改善されていないことへの懸念を伺った。
*Bruce Parkes氏 と会談
Deputy Secretary of Energy & Communications, Ministry of Economic Development
地熱発電所についてお話いただきました。
ニュージーランドでは国内電力消費量の約10%を地熱発電でまかなっています。
ちなみに日本には52の地熱発電所があり、合計53万kwの電力を発電していますが、国内電力消費量の0.2%にすぎない、とのデータがあります。
同じ火山国として、地熱発電の利用について話し合い、再生可能エネルギーの一翼を担う地熱発電の可能性を再認識しました。
なお、ニュージーランド国内の多くの地熱発電所は、日本企業が製造した機械であることも伺いました。
*Tony Soljan, Soljans Estate (Winery)を訪問
私自身が以前カリフォルニア・ナパ・バレーのロバート・モンダヴィ・ワイナリーで働いていたことをお話したら、ロバート・モンダヴィ氏がニュージーランドにおいてもワイン業界への貢献度は高かったと評価しておりました。
1937年創業というニュージーランド国内では老舗といえるワイナリーです。
*岩本こうへいさんを激励
岩本こうへいさん(20歳)は神戸出身のバレエ・ダンサーで、現在オーストラリアに奨学金で留学中です。Royal New Zealand Ballet のオーディションに合格し、次期公演予定の「カルメン」のリハーサル中に岩本こうへいさんを激励しました。
写真をクリックすると大きな写真が表示されます。
*在ニュージーランド日本国大使館を訪問
ニュージーランド大使の?橋利弘さん、公使の手塚義雅さん、一等書記官の田原光児さん、にお世話になり、ニュージーランドの情勢、日本との違いやこれからの日本とニュージーランドとの協力体制など、詳しくご教授いただきました。
当初の予定滞在時間を過ぎ、3時間半以上お時間を割いていただき、心から感謝いたしております。公邸には画家の?橋由紀さんが描いたウエリントンの素晴らしい風景の絵が飾ってありました。
(写真 左・風景画、右・NZといえば羊)